津軽地方の南端に位置する大鰐町(おおわにまち)は、豊かな山々に囲まれ、津軽藩の奥座敷として約800年前から親しまれてきた由緒ある温泉郷。その温泉の熱を利用し、地温を高めて栽培する土耕栽培で育てられた幻の冬野菜が「大鰐温泉もやし」。洗浄や仕上げに至るまでの水もすべて温泉水を使用した、約350年の歴史と伝統を誇る、津軽藩主にも献上した伝統野菜。
雪深い東北地方でも冬場に食べられる野菜として、温泉熱などを利用して栽培されていたと言われる。一般的な水耕栽培ではなく土耕栽培で育てるため、土にもこだわり、化学肥料や化学合成農薬を使用していない独自ブレンドの土を使用。7日間じっくりと育てるもやしは、長さが30cmから40cmにもなり、シャキシャキとした歯ごたえがある。昔と変わらず手作業で行い、“ワラ”で束ねて出荷する。味の良さ、品質の高さで人気が高く、すぐに売り切れてしまい、出荷量の大半は地元で消費されて大鰐近辺のエリアでしか流通していない。
もやしには2種類あり、小八豆(こはちまめ)という地域在来種の大豆から作られる「豆もやし」と、階上早生(はしかみわせ)という青森県の在来である蕎麦からつくられる「そばもやし」がある。大鰐温泉にしかない品種の小八豆でなければ独特の食感が出せないため、幻の冬野菜と呼ばれる。そばもやしは「そばスプラウト」とも呼ばれ、ルチン含有量が蕎麦の数倍にもなる。シャキシャキ感が強い豆もやしはみそ汁や豚汁・油炒めなどに。もやしはさっと火を通すと食感がより楽しめる。細いそばもやしはサラダやおひたしにするのがおすすめ。
旬 11月 12月 1月 2月 3月 4月