弘前を中心に昔から親しまれてきた惣菜のひとつに“弘前いがめんち”がある。海に面していないこれらのエリアでは、“スルメイカ”を使った保存食として“飯ずし”を作ってきたが、その時に余った“イカゲソ”を使い、野菜などと混ぜ合わせ油で焼き揚げたものが弘前いがめんちだ。無駄なく食材を食べる昔ながらの食卓の知恵から生まれた一品だ。イカゲソのぷりっとした歯ざわりと旨みが感じられ、おかずとしてはもちろん、酒のつまみとしてもぴったり。
津軽地方の家庭料理である「イカメンチ」は、イカの刺身を作る際に残る「ゲソ」を叩いてミンチにし、たまねぎや人参などの野菜と一緒に小麦粉でまとめて揚げたものが起源とされています。終戦直後の食糧難の時代に、イカを無駄なく食べる方法として工夫されたとも言われています。イカの風味と食感に野菜の甘み、揚げたての香ばしさが相まって、今でも幅広い年齢層に愛されるソウルフードとなっています。
基本的には家庭の日常料理として食べられ、家庭ごとに調理方法が異なります。市場やスーパーマーケットの総菜コーナーでもよく見かけ、手頃な価格で販売されています。アレンジ次第で様々な味わいを楽しめ、地元のグルメとして提供される店舗も増えています。ご飯にのせた「イカメンチ丼」やバンズに挟んだ「イカメンチバーガー」など、様々なスタイルで楽しめます。
イカを下処理し、ゲソを含めてみじん切りにし、野菜と混ぜ合わせて小麦粉でまとめます。溶き卵を加える家庭もあります。さらに、紅しょうがや枝豆を入れたり、豆腐や長芋を混ぜてふんわりとした食感を出したり、カレー風味にしたりと、アレンジの幅も広がっています。揚げたての旨味がじゅわっと広がり、美味しさを引き立てます。
主な伝承地域：津軽地方
主な使用食材：イカ、キャベツ、人参、たまねぎ