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雲井の滝

(くもい たき)

奥入瀬渓流を代表する迫力の名瀑

雲井の滝は、青森県十和田市に広がる奥入瀬渓流の中流域に位置する、渓流を代表する名瀑のひとつです。うっそうとした原生林に囲まれた断崖から、三段になって流れ落ちるその姿は、高さ約20メートルという規模に加え、豊富な水量によって圧倒的な迫力を放っています。奥入瀬渓流に点在する数多くの滝の中でも、特に見ごたえのある存在として、多くの人々を魅了しています。

三段に落下する豪快な水の流れ

雲井の滝の最大の特徴は、断崖を伝うように三段構えで一気に落下する水の流れです。上段から中段、そして下段へと続く滝の連なりは、見る角度によって異なる表情を見せ、訪れる人に強い印象を残します。水量が非常に多いため、滝壺付近には水しぶきが立ちこめ、周囲にはひんやりとした空気が漂います。その重厚で力強い姿は、まさに自然のエネルギーを体感できる景観といえるでしょう。

滝が生まれる地形と地質の物語

奥入瀬渓流に見られる多くの滝は、支流が本流に合流する地点に形成されています。これは、長い年月をかけて奥入瀬川本流の川底が浸食され、支流との間に大きな高低差が生じたことによるものです。雲井の滝もそのひとつで、本流に向かって落ち込む支流が、自然の造形美としての滝を生み出しました。

滝は完成された姿のまま存在し続けるものではなく、水の力によって岩盤を削りながら、少しずつ上流へと後退していきます。特に雲井の滝は水量が豊富なため、岩の浸食が進みやすく、ほかの滝に比べて奥まった位置まで後退しているといわれています。このことは、現在の雲井の滝が、長い地質の歴史を経て形成された「生きた景観」であることを物語っています。

奥入瀬渓流 ― 国が守る特別な自然景観

十和田湖から続く14キロメートルの清流

雲井の滝が位置する奥入瀬渓流は、十和田湖東岸の子ノ口から焼山まで、およそ14キロメートルにわたって続く奥入瀬川の渓流です。十和田湖とともに十和田八幡平国立公園に属し、1928年には国の名勝および天然記念物に指定、1952年には特別名勝・天然記念物へと格上げされました。

二重カルデラ湖である十和田湖が、地形の変化によって形成したU字型の渓谷を流れる奥入瀬渓流は、日本でも類を見ない自然景観を有しています。深い森と清らかな水が織りなす風景は、四季を通じて訪れる人々の心を癒やし、感動を与えてくれます。

瀑布街道と呼ばれる滝の連続

奥入瀬渓流の上流域から中流域にかけては、滝が次々と現れることから「瀑布街道」とも呼ばれています。魚の遡上を阻むことから「魚止めの滝」として知られる銚子大滝や、段々に水が落ちる九段の滝など、個性豊かな瀑布が連なります。その中でも雲井の滝は、水量と落差のバランスが際立ち、特に印象深い存在です。

森と岩が織りなす奥入瀬ならではの景観

溶結凝灰岩が生み出す迫力ある断崖

奥入瀬渓流の両岸に迫る断崖は、軽石や火山灰が高温の状態で堆積し、圧縮されてできた溶結凝灰岩から成っています。この地質が、奥入瀬独特の荒々しくも美しい景観を生み出しています。雲井の滝が流れ落ちる断崖もまた、この溶結凝灰岩によって形づくられており、滝の迫力を一層引き立てています。

渓流とともに歩く自然散策路

奥入瀬渓流沿いには国道102号が走り、その脇には自然遊歩道(ネイチャートレイル)が整備されています。渓流とほぼ同じ目線で水の流れを眺めながら歩ける点は、尾根道や展望台から眺める景観とはまた異なる魅力があります。雲井の滝も遊歩道から間近に眺めることができ、その轟音と水しぶきは、写真では味わえない臨場感を伝えてくれます。

雲井の滝がもたらす感動のひととき

深い自然林に包まれた奥入瀬渓流の中で、雲井の滝は圧倒的な存在感を放ちながら、訪れる人々を迎えてくれます。大木の枝葉が重なり合い、緑のトンネルとなった散策路を歩く中で、突然視界に現れる豪快な滝の姿は、まさに感動の瞬間です。

水が刻み続けてきた長い時間の流れと、今この瞬間にも変化し続ける自然の姿を感じられる雲井の滝。奥入瀬渓流を訪れる際には、ぜひ足を止め、その迫力と美しさをじっくりと味わってみてください。自然が生み出した壮大な芸術が、静かに、そして力強く心に刻まれることでしょう。

Information

名称
雲井の滝
(くもい たき)

十和田・奥入瀬

青森県