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鶴田町

(つるたまち)

鶴田町は、青森県北津軽郡に位置し、豊かな自然と農業文化に恵まれた町です。津軽平野の中心部に広がるこの地域は、津軽地方特有の肥沃な土壌と気候を活かし、古くからリンゴやブドウの栽培が盛んに行われてきました。特に、ブドウの品種「スチューベン」は生産量日本一を誇り、その甘みと芳醇な香りで全国に名を馳せています。また、雄大な岩木山を望む絶景や、温かみある木造建築の「鶴の舞橋」、そして伝統文化を今に伝える施設など、観光資源も豊富に揃っています。

地理と自然環境

鶴田町は、津軽平野のほぼ中央に位置し、町の中央を日本海へと流れる岩木川が穏やかに貫流しています。この川は地域の農業を支える命の水であり、町の風景にも潤いを与えています。町内には小高い丘や湖沼も多く、特に有名なのが津軽富士見湖(廻堰大溜池)です。この湖は人工的に造られたとはいえ、周囲の自然と見事に調和し、季節ごとに変化する景観は訪れる人々の心を癒します。

高山(たかやま)

鶴田町の北部に位置する高山は、標高36メートルの小高い山で、津軽富士見湖の北側にあります。低山ながらも、山頂からは湖と岩木山を一望でき、地元の人々の憩いの場として親しまれています。春には新緑が、秋には紅葉が美しく、自然散策にも最適なスポットです。

津軽富士見湖と鶴の舞橋

津軽富士見湖(廻堰大溜池)

津軽富士見湖(つがるふじみこ)は、正式名称を「廻堰大溜池(まわりぜきおおためいけ)」といい、青森県最大の人造湖です。貯水量は1425万6000立方メートル、堤長は4.2キロメートルと国内最大級の長さを誇ります。湖面には「津軽富士」と呼ばれる岩木山が美しく映え、その雄大な姿から「富士見湖」の愛称で古くから親しまれてきました。

この湖は、農業用水を供給する重要な役割を担いながらも、観光地としても高い人気を誇ります。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の表情を楽しむことができ、写真愛好家や家族連れにとっても格好のスポットです。2010年には農林水産省によって「ため池百選」に選定され、その景観美と地域への貢献が評価されました。

鶴の舞橋(つるのまいはし)

津軽富士見湖の象徴ともいえるのが、全長300メートルにおよぶ鶴の舞橋です。この橋は三連太鼓橋としては日本一の長さを誇る木造橋で、1991年に着工し、1994年に完成しました。設計においては「鶴が羽ばたく姿」と「周囲の山並みとの調和」をテーマに掲げ、自然景観と見事に一体化しています。

使用されている木材はすべて青森県産のヒバで、橋脚には樹齢150年以上の木材を使用。総材積は700平方メートルにも及びます。夜になると110基のライトが優しく灯り、湖面に幻想的な光の模様を映し出します。四季折々の景観とともに、昼と夜で異なる美しさを見せるこの橋は、鶴田町の新しいシンボルとして多くの人々に愛されています。

富士見湖パークと周辺施設

富士見湖パーク

富士見湖パークは、津軽富士見湖の湖畔に広がる約12.4ヘクタールの広大な公園です。春には桜が咲き誇り、毎年恒例の「桜まつり」ではステージイベントや屋台が並び、多くの観光客で賑わいます。四季折々の風景が美しく、散歩やピクニックに最適なスポットです。園内には戸和田神社や白衣観音堂などの文化的建造物もあり、自然と歴史を同時に感じることができます。

鶴の里ふるさと館

鶴の里ふるさと館は、明治時代の民家を移築・再現した歴史資料館です。平成7年に後中野集落の茅葺き民家を移築し、座敷や土間、かまど、馬小屋などを当時のままに復元しています。館内には農具や生活道具が展示され、100年以上前の人々の生活の知恵や暮らしぶりを学ぶことができます。

丹頂鶴自然公園

丹頂鶴自然公園は、かつて多くの鶴が飛来したという町の伝説を受け継ぐ形で設立された施設です。1993年に中国黒龍江省から2羽の丹頂鶴を譲り受けたのをきっかけに、1997年にはロシアからもつがいを迎え、現在では鶴田町で孵化した丹頂鶴も飼育されています。湖畔に立地する園内では、優雅に羽を広げる鶴の姿を間近に見ることができ、静かな自然とともに心癒される時間を過ごせます。

町の交流と特産品

道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」

地域の交流拠点として親しまれているのが、道の駅つるた 鶴の里あるじゃです。「あるじゃ」という名は、スペイン語の「Grulla(鶴)」と「Ala(翼)」を合わせた造語で、「鶴の翔び立つ姿」を意味します。ここでは、鶴田町で収穫された新鮮な農産物が販売され、夏はメロンやスイカ、秋はスチューベンやりんごなどが並びます。

特に人気なのが、町特産のスチューベンを使用したスイーツで、中でもスチューベン大福は看板商品です。モチモチの生地に甘酸っぱい果実が包まれ、地元でもお土産として大変人気があります。また、鶴田産大豆を使用した豆乳担担麺やスチューベン餃子など、地産食材を活かした料理も楽しめます。

歴史文化伝承館

旧・水元小学校の校舎を利用した鶴田町歴史文化伝承館は、明治9年創立、昭和11年築の木造校舎を保存・公開しています。NHK大河ドラマ「いのち」のロケ地にも使用されたこの建物は、現在では町の歴史や文化を展示する資料館として活用されています。どこか懐かしさを感じる木造校舎の雰囲気が、訪れる人々の心を温めます。

果物の町・鶴田の恵み

スチューベンぶどう

鶴田町の代名詞ともいえるのが、スチューベンぶどうです。作付面積・生産量ともに日本一を誇り、糖度が高く濃厚な甘みが特徴です。10月から2月にかけて販売され、りんごの貯蔵技術を応用した保存方法により、冬でも新鮮な味を楽しむことができます。ジュースやゼリー、ワインなどの加工品も多く、町の特産品として全国に知られています。

さくらんぼとりんご

スチューベンに並ぶもう一つの名産がさくらんぼです。主に「佐藤錦」と「ナポレオン」が栽培され、6月下旬から7月中旬にかけて収穫が行われます。観光農園では収穫体験も可能で、家族連れに人気です。また、鶴田りんごも津軽を代表するブランドとして知られ、つがる、紅玉、ふじなど多品種が揃い、その美味しさには定評があります。

地元の味と加工品

鶴田町の恵まれた大地から生まれる食材は、様々な加工品としても親しまれています。スチューベンを使用した丹頂のささやきワインや、地元米「鶴の輝き」で造られた純米吟醸酒・鶴の恩返しなど、どれも地域の誇りが詰まった逸品です。また、米粉パンや豆腐、味噌といった農産加工品も豊富で、地元の味をそのまま楽しむことができます。

まとめ

青森県鶴田町は、豊かな自然、文化、そして人々の温かさが息づく魅力的な町です。津軽富士見湖や鶴の舞橋といった絶景スポットから、果物狩りや温かい郷土の味まで、四季を通じて訪れる価値のある観光地といえるでしょう。自然と共に生きる鶴田町の暮らしは、訪れる人の心をやさしく包み込み、忘れられない思い出を残してくれます。

Information

名称
鶴田町
(つるたまち)

津軽

青森県