創建と由緒
社伝によれば、鎌倉時代から室町時代にかけての創建と伝えられています。伝説によると、赤穂藩の江戸城中での刃傷事件により藩が取り潰された際、城内に祀られていた稲荷大神の御霊代を藩士の寺坂三五郎が奉戴し、その子孫が「高山の霊地に祀れ」とのお告げを受け、この地に遷座したとされています。以来、農業や漁業、商業に関わる人々をはじめ、多くの人々から篤い信仰を集めています。
ご祭神
高山稲荷神社のご祭神は以下の三柱です。
- 宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと) ― 五穀豊穣を司る神
- 佐田彦命(さたひこのみこと) ― 道開きや導きの神
- 大宮能売命(おおみやめのみこと) ― 社殿を守護する神
これらの神々は、農業・漁業・商業など生活に密接する分野で広く信仰されており、家内安全・病気平癒など、多方面にわたるご利益を授けてくださると伝えられています。
千本鳥居の幻想的な光景
圧巻の朱色の回廊
高山稲荷神社の最大の見どころは、なんといっても「千本鳥居」です。高さ約2メートルの鳥居が幾重にも連なり、参道に延々と続く光景は圧巻そのもの。訪れる人は朱色のトンネルをくぐりながら、まるで異世界を旅しているような感覚を味わうことができます。
四季を彩る景観
春には鳥居と桜の花が調和し、夏は新緑に映える朱色が鮮やかに輝きます。秋には周辺の紅葉と共に幻想的な風景を生み出し、冬には一面の雪景色の中で朱色が際立ちます。四季折々の変化が楽しめることから、写真愛好家や観光客に人気を集めています。
鳥居の数の秘密
「千本鳥居」と呼ばれてはいますが、正確な数は公表されていません。訪れた際には自分で数えてみるのも一興で、神社ならではの楽しみ方のひとつとなっています。
境内の見どころ
高山稲荷神社の境内には、数多くの社や施設があり、参拝者を迎えています。
主な社殿と施設
- 大鳥居 ― 境内の入口を飾る壮麗な鳥居
- 拝殿 ― 参拝の中心となる建物
- 神札授与所 ― お守りや御札を授かれる場所
- 参集殿 ― 参拝者が休憩や行事に利用する施設
- 三王神社・三五郎稲荷神社・千代稲荷神社・大島稲荷神社・作丈一稲荷神社・よんこ稲荷神社・熊五郎稲荷神社 ― 境内に点在する小社
- 龍神宮 ― 水の神を祀る社
- 神明社 ― 古くから信仰を集める社
- 千本鳥居 ― 境内最大の見どころ
慰霊碑と歴史的背景
境内の近くには、1889年(明治22年)に七里長浜沖で座礁した米国船「チェスボロー号遭難慰霊碑」が建立されています。この碑は、遭難した乗員の霊を慰めるために建てられ、国際的な歴史の一幕を今に伝えています。
周辺の観光スポット
七里長浜
高山稲荷神社の近くには、青森県を代表する美しい砂浜「七里長浜」が広がります。水平線に沈む夕日が絶景で、訪れる人々を魅了してやみません。
高山展望台
神社の近くには高山展望台があり、つがる平野や日本海を一望できます。特に夕暮れ時の景観は素晴らしく、観光客に人気のスポットです。
アクセス情報
高山稲荷神社へのアクセスは以下の通りです。
- JR東日本 五能線「五所川原駅」から車で約30分
- 神社には広い駐車場が整備されており、自動車での参拝も便利です。
まとめ
高山稲荷神社は、歴史ある由緒と壮麗な千本鳥居が織りなす、青森県つがる市を代表する観光名所です。五穀豊穣・海上安全・商売繁盛を願う人々に長く信仰され、また四季折々に美しく彩られる境内は、多くの参拝者や観光客を魅了しています。京都の伏見稲荷大社に匹敵するスケールと神秘的な雰囲気を味わえる、まさに東北の隠れた名所といえるでしょう。