高さ23メートルの立佞武多がお出迎え
「五所川原立佞武多」は、青森ねぶた、弘前ねぷたと並び、青森三大佞武多のひとつに数えられます。高さ約23メートル、重さ約19トンもの巨大な山車が市街地を練り歩く姿は、見る人すべてを圧倒し、訪れる人々に忘れがたい感動を与えます。
「立佞武多の館」では、この祭りで実際に使用された立佞武多が展示されており、吹き抜け構造の館内を巡りながら、迫力満点の立佞武多を様々な角度から見学できます。4階から1階まで続くスロープを歩きながら、徐々に視点を変えて見下ろすことで、その壮大さを存分に体感できるのです。
館の誕生と歴史的背景
五所川原市では、1996年(平成8年)に立佞武多行事が復活して以来、市全体で地域活性化のシンボルとしてこの文化を大切に育んできました。その流れの中で、2000年(平成12年)に立佞武多を収納・展示するための施設建設が計画され、2002年に着工、2004年に「立佞武多の館」が開館しました。
この施設の大きな特徴は、3階部分に「立佞武多製作所」が併設されている点です。ここで毎年新しい立佞武多が製作され、その後館内に展示されるとともに、8月の祭りでは実際に市内を練り歩きます。
展示室の魅力
展示室は1階から4階までの吹き抜け空間で、常時3基の大型立佞武多が展示されています。これは、毎年新作が1基製作され、3年間使用されるためです。当年の作品、前年、前々年の作品が並び立つ光景は圧巻で、それぞれのテーマや表情の違いを見比べる楽しさもあります。
さらに、展示室の一部は高さ23メートルの可動壁となっており、祭りの際にはここから実際に立佞武多が出陣します。館内のスロープを歩いていると、この出入り口部分の工夫も間近に見ることができ、祭りと館が一体となっていることを実感できます。
美術展示ギャラリー
館の2階には、美術展示ギャラリーが設けられています。ここでは、弘前市出身の日本画家工藤甲人の代表作『津軽の四季』をはじめ、郷土にゆかりのある作家たちの作品が展示されています。また、年に数回企画展も開催され、地域文化と芸術を同時に楽しめる場となっています。
各階の施設と楽しみ方
1階
物産ホール「花しょうぶ」では、地元の特産品やお土産を購入できます。また、多目的ホールやオープンカフェ「プラム」があり、観覧の合間に休憩を取るのにも最適です。
3階
立佞武多製作所があり、実際に立佞武多が制作される様子を見学できます。熟練の職人たちの技と情熱を間近に感じられる貴重な機会です。
5階
「遊楽工房かわらひわ」では、津軽地方の伝統工芸に触れることができます。特に、可愛らしい金魚ねぷた作りの体験は人気が高く、旅の思い出として自分だけの作品を持ち帰ることができます。
6階
展望ラウンジとレストラン「春楡(はるにれ)」があり、市街地や岩木山を望む絶景を楽しみながら食事ができます。観光の締めくくりとして訪れると特におすすめです。
五所川原立佞武多とのつながり
「五所川原立佞武多」は、眠り流しを起源とする民俗行事から発展した祭礼です。明治時代には高さ30メートルを超える巨大ねぷたも登場しましたが、時代の変化や大火によって小型化を余儀なくされました。しかし、1996年に再び巨大ねぷたが復活し、現在の「立佞武多」という名称が生まれました。1999年からは祭りの正式名称も「五所川原立佞武多」となり、地域を代表する祭典として続いています。
「立佞武多の館」は、この壮大な伝統行事を未来へ継承し、いつでもその迫力を体験できる場所として、多くの観光客や地元市民に親しまれています。
利用案内
開館時間
立佞武多展示室
4月~9月:9:00~19:00
10月~3月:9:00~17:00
美術展示ギャラリー
9:00~19:00
休館日
1月1日が定休日です。そのほか、展示替えに伴い臨時休館となる場合があります。
入館料
立佞武多展示室:大人600円(高校生450円、小中学生250円)
美術展示ギャラリー:大人300円(高校生・小中学生100円)
両方をお得に楽しめるセット料金も用意されています。
アクセス
JR五能線「五所川原駅」または津軽鉄道「津軽五所川原駅」から徒歩約5分。
車利用の場合は、津軽自動車道五所川原北インターチェンジから約10分、東北自動車道浪岡インターチェンジから約20分で到着できます。バスの場合は、弘南バス「大町 立佞武多の館前」で下車してください。