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いかのすし

(烏賊 寿司)

爽やかな酸味がイカの旨味を引き立てる

いかのすしは、青森県下北半島の大畑地域で古くから親しまれてきた伝統的な郷土料理です。名前に「すし」とありますが、一般的な寿司のようにご飯やもち米は入っていません。その代わりに、ボイルしたスルメイカ(または他のイカ)の胴体に、イカの足や塩漬けしたキャベツ、ニンジン、紅しょうがなどの具材を詰め、酢漬けにして仕上げます。さっぱりとした酸味がイカの旨味を一層引き立てる逸品です。

美しい見た目と豊かな食感

淡いピンク色に染まったいかのすしは、見た目にも美しく、祝い事の席などでも好まれます。野菜のシャキシャキとした食感と、イカの柔らかい歯ごたえが絶妙に調和し、お茶うけや酒の肴、ご飯のおかずとして幅広い世代に親しまれています。その爽やかな酸味とあっさりした風味は、青森の食文化を感じさせる味わいです。

伝統の作り方と現代の工夫

いかのすしは、まずイカの足と内臓を取り除き、軽くゆでて下処理をします。千切りにしたキャベツと人参を塩でもみ、水気を搾ったものに紅しょうがや酢、酒を加えて具材を作り、ゆでたイカの胴に詰め込みます。それを樽に並べ、重石をして数日置くと完成です。現在では、酢を多めに効かせることで、短期間でも食べられるよう工夫されています。また、地域や家庭によってはキャベツの代わりに大根を使うなど、さまざまなアレンジも見られます。

青森の秋冬を彩る味

酸味と旨味のバランスが絶妙な「いかのすし」は、青森の寒い季節にぴったりの保存食としても重宝されてきました。素朴ながらも深い味わいを持つこの郷土料理は、今も多くの人々に愛され続けています。

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名称
いかのすし
(烏賊 寿司)

下北半島・大間・恐山

青森県