株価と人望が上がるご利益
蕪嶋神社は社伝によれば1269年に江ノ島弁才天を勧進したのがはじまり。
「蕪嶋の弁天様」として信仰を集めてきた。
蕪島(かぶしま)の「蕪」と「株」が同じ読みであることから、株価と人望の「かぶ」が上がるご利益があると言われる。
蕪島
蕪島は、長さ約300m、幅140m、高さ19m、面積約17,000平方メートルの小高い丘状の地形をしています。かつては島でしたが、1942年に旧海軍による埋め立て工事が行われ、本土と陸続きになりました。現在でも海岸線の自然景観が保たれ、太平洋を望む絶景スポットとして人気があります。
名称の由来にはいくつかの説があり、「蕪の花が咲く島」という説や、「神を祭る島」を意味する「神嶋(かむしま)」から転じた説、さらにはアイヌ語の「カピュー(ウミネコ)」と「シュマ(岩場)」を組み合わせたとする説などがあります。
ウミネコ
蕪島は日本有数の<strong>ウミネコの繁殖地</strong>として知られており、1922年に国の天然記念物に指定されました。毎年2月下旬から4月にかけて約4万羽のウミネコが飛来し、5月には菜の花が咲き乱れる中で営巣と抱卵が始まります。6月にはヒナが孵化し、7月には元気に巣立っていく姿が見られます。
ウミネコは漁師たちにとって「漁場を知らせる鳥」として大切にされ、弁天様の使いとして崇められてきました。蕪嶋神社が位置するこの島では、ウミネコの営巣を間近に観察できる数少ない場所であり、自然と人間の共生が息づく貴重な環境が保たれています。
付近にはウミネコを大きな窓越しに観察できる蕪島休憩所や蕪島プロムナード公園があります。
歴史と由来 ― 弁財天信仰の聖地
蕪嶋神社の創建は、社伝によると鎌倉時代の1269年にまで遡ります。江の島弁才天を勧請したことが始まりと伝えられており、古くから「蕪嶋の弁天様」として人々の厚い信仰を集めてきました。祭神は宗像三女神(市寸嶋比売命・多紀理毘売命・多岐都比売命)であり、これらの神々は海上安全・漁業繁栄・商売繁盛を司る神として知られています。
弁財天は音楽・芸術・学問の女神でもあり、また金運上昇や子授けのご利益があるとされることから、近年では観光客やビジネス関係者の参拝も多くなっています。地域の漁師たちにとっても、この神社は古来より海上安全と豊漁を願う守護の場所でした。
火災と再建 ― 地域の絆で蘇った神社
2015年11月、蕪嶋神社は不幸にも火災により社殿が全焼しました。しかし地元の人々の熱意と支援により、2016年から再建工事が始まりました。ウミネコの繁殖期(4月~8月)には工事を中断するなど、自然への配慮を徹底しながら、約5年の歳月をかけて2020年に再建が完了しました。
新しい社殿には青森県産の木材が多く使われ、伝統的な神社建築の美しさを保ちながらも、地域の自然素材を活かした造りとなっています。火災を乗り越えたこの再建は、地域の誇りと信仰の象徴として、今も多くの人々の心に感動を与えています。
祭りと文化 ― 蕪島まつりと白蓮の詩碑
毎年4月の第3日曜日には、春の訪れとともに「蕪島まつり」が開催されます。地元住民や観光客が集い、ウミネコや自然への感謝を込めて行われるこの祭りは、地域の伝統行事として受け継がれています。また境内には、詩人柳原白蓮の短歌が刻まれた「ウミネコ供養碑」があり、命と自然への祈りが静かに息づいています。
アクセスと観光情報
蕪嶋神社へは、JR八戸線「陸奥湊駅」から徒歩約15分の距離にあり、アクセスも良好です。八戸市内からはバスも運行しており、車で訪れる場合は八戸自動車道「八戸IC」から約30分ほどで到着します。周辺には駐車場が整備されており、観光シーズンでも安心して訪れることができます。
訪問の際には、ウミネコの繁殖期に配慮し、巣やヒナに近づかないよう注意が必要です。風が強いこともあるため、防寒具や帽子などを用意すると快適に散策できます。
まとめ ― 自然と信仰が息づく神の島
蕪嶋神社は、自然、信仰、そして地域の絆がひとつになった神聖な場所です。ウミネコが空を舞い、菜の花が咲き誇る光景の中で参拝すれば、まるで自然と神々が共に息づいているかのような清らかな気持ちに包まれることでしょう。火災を乗り越えた再建の歴史、そして地元の人々の信仰心が今も息づくこの神社は、訪れるすべての人に深い感動と癒しを与えてくれます。